「中華すげえ….」
これは筆者のおかもとが激安のレーシングシミュレーター用ロードセルペダルを試した直後の感想だ。
それは中国版アマゾンとも呼ばれるAliexpressを徘徊しているときに出会った….
「ん?シム用ペダル….?ほへーそんなのもあるのか。」
はじめはそんな軽い気持ちで商品ページをクリックし、ペダルの詳細な仕様をチェックしていると、
「おーーん!?ロードセルだと!?」
ロードセルという文字を見てから、一気に前のめりになり商品説明欄を舐めますように隅から隅までチェックする。
「んー、なんかでもあやしいな…」
別におかしなことではない。
中国版アマゾンと呼ばれるAliexpressは、一方では「届くかどうか分からないルーレットアマゾン」という異名もつけられているからだ。
しかし、
「なに!?送料込みで2万6千円だと!?」
あのロードセルペダルが2万円台で買えるというのだ。
最近、レースシム界では定番と化しているHeusinkveld製のSim Pedals Sprintも10万円近くするなか、こんなことがあっても良いのか….
そこから先はよく覚えていない。気づいたころには、決済完了画面まで進んでいた。
「大丈夫だ….もし届かなくても2万円ちょっとの勉強代だ…大丈夫だ…必ず届く…!!」
もくじ
激安ロードセルペダル、「Sim Jack」
きちんと届くのかどうかドキドキ不安の2週間を送ったのち、無事到着した激安シムペダル。
どうやら名前は、「Sim Jack」というらしい。これからよろしくな!
早速、レーシングシミュレーター用ペダルの帝王「Heusinkveld Sim Prdals Ultimate」と並べてみた。
写真の左側がSim Jackペダル、右側がUltimateペダルだ。
パっと見た感想は、
「小っちゃ!!」
Ulitimateのペダルからいうと、6割か7割くらいしかないくらいの大きさ。
いや、2万円台のペダルだ。このくらいの小ささがなんというものか。むしろ、でっかいSUVのあとにミニクーパーをみたような可愛らしささえも感じる。
同梱物は3ペダル、USBボックス、ケーブル
ペダルの内容物も紹介したいと思う。
まずはペダル。
アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルの3点がセットになって箱詰めされている。
そして、箱を開け進めると、USBタイプAのケーブルが一緒に入っている。
1.5Mの長さでPCに接続することができる。
(ピンぼけ申し訳ない….)
そしてコイツ!
ペダルとPCを繋いであげるための、USBコントローラーボックスも一緒に同梱されている。
やはりHeusinkveld感は否めない…..
外観をチェック
ペダルの外観をチェックしていく。
ペダルの骨格となる部分はステンレス製だということで、表面が非常にツヤツヤしているのが特徴だ。
HeusinkveldのSprintとUltimateはツヤがないマットな感じに仕上がっているので、ここは違うなという感じ。
だが、そもそもの造りが完全に、初期のHeusinkveldをパクっているように見えるので、大きな違いを見つけることができない….
画像はブレーキペダルを比較しているが、やはり全体サイズが違うからか、ロッドの長さが異なっている。
それに伴って、ラバースプリングの長さも変わっているため、この辺りはフィーリングに大きな違いがでるところ。
また、バネ長もSim Jackのほうが長いので、最初のブレーキのタッチの違いも出てくるだろう。
また、Ultimate同様プリロードをかけることができるので、最初のタッチの雰囲気は変えることができる。
そのほかにも、ブレーキペダルだけでなく、アクセル、クラッチペダルともに、ストローク量、硬さ、プリロード、ペダルプレート位置、は自由に変えることができる。
取り付けて走ってみた
実際にコックピットフレームに取り付けて走ってみた。(↑の画像は取り付けたあとの画像。)
そんなことよりも靴下が可愛いというのは置いておいて、実際にSim Jackのペダルを踏んでみた。
アクセルから順番に踏んでいき一番重要なブレーキに足をのせてみる。
「ふわっ」
!?
想像していたよりも、ブレーキの印象はふかふかな感触だった。
ロードセル特有のかっちりとした感じは全然なくて、踏んだときのストローク量も多い。
「うーん、ちょっとフィーリングいまいちだなあ…」
続けてクラッチも踏んでみるも、Heusinkveldのような「カックン」感は全然なく、アクセルペダルの硬いバージョンといった印象。
まあぶっちゃけクラッチは速く走るためには関係のない部分ではあるものの、レーシングシミュレーターの雰囲気を楽しむユーザーには期待外れといった感触になるに間違いないだろう。
「まあでも、2万円台だしなあ….こんなもんかな…」
お世辞にも純正の吊るし状態では良い感触は得られなかった。
あと、やはりペダルの小ささが想像以上に気になってしまう。
G27やG29のペダルよりは大きいから大丈夫だなんて、勝手に考えていたけど、実際に使ってみると、特にペダルプレートの位置が低すぎてペダルを踏むというよりかは押すというような動作になってしまう。
普段、ロードセルでペダルを踏んでコントロールしている身にとっては、とてもコントロールしずらいといった印象を受けてしまった。
カスタマイズしてみた
というわけで、自分が納得できるところまでカスタマイズしてみることにした。
結論から言うと、カスタマイズによりペダルのフィーリングは劇的に変化し、違和感のないところまで設定することができた。
まずは、ペダルの一番の要となる、ブレーキの感触を見直す。
純正の吊るし状態では、バネ+ラバースプリング一個、という組み合わせになっているが、まずバネ長が長すぎるため、ラバースプリングにタッチするまでに踏む量が多すぎる。
ということでまずは、このバネを取り外すことにした。
最適解はEliteペダルにあった!
バネを取り外し、納得できるフィーリングを探すために、いろんなもので試してみた。
「そもそもバネいらないんじゃね?」って思ったりもして、バネなしのラバースプリングのみ追加したり色々試行錯誤した結果、現状の最適解はFANATEC Eliteペダルに装着されている、スポンジがベストという結果になった。
プリロードはあまりかけずタッチくらいにしたら、最初のペダルのタッチフィーリングはかなり改善できた。
つづけて、ラバースプリングを見直していく。
現在、手元にはHeusinkveldのSim Pedals Sprintのラバースプリングが大量に余っていたため、そちらを流用して試してみることにした。
やはりフィーリングで一番大事なのは、ラバースプリングなんだなということをここで再確認できたのだが、組み合わせによってガラッとフィーリングが変わる。
そして、色々な組み合わせで試してみた結果、Sprint1個+Sim Jack1個という組み合わせがベストという最適解にたどり着いた。
「おおお!!めっちゃいい!」
「これなら全然違和感なく使えるぞ!!」
さらに、ペダルプレートの高さも調整して、本来使用できる高さではないが無理やりボルト穴を使って高さを上げることができた。
「うんうん、これで2万円台ならめっちゃコスパいいぞ!」
カスタマイズによって大化けすることに成功し、Heusinkveldのペダルとほぼ同等の操作性を得ることができた。
最初は、ただのコピー製品なミニクーパーくらい可愛いヤツという認識だったが、今はカスタマイズによってバキバキに戦えるチューニングカーにまで鍛え上げられた。
万人受けするペダルではないが….
購入した状態でそのまま使用したい、といったユーザーには受けないかもしれない。
だがしかし、カスタマイズによって何倍にも化ける可能性を秘めているため、ペダルにコストをかけたくなくて、自分でカスタマイズをする楽しみを持てるユーザーには大いにおすすめできるペダルといえる。
今回は、Sprintのラバースプリングを流用したものの、モノタロウなどの通販でラバースプリングは簡単に手に入れることができるため、色々物色して自分にあったフィーリングを獲得するのも楽しいかもしれない。
なんせ、送料込みで2万円台という破格の値段は魅力的であり、FANATECのEliteペダルよりもコスパ的にはいいかもしれない。
いやー、中華のコピー製激安商法おそるべし!
興味のある方はぜひチャレンジしてみてほしい。